小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「帰るなよ、赫」


更に強く抱きしめられ、あたしは少し背伸びをした。


「ちょ……武内くん」


つま先立ちをする足に力が入らなくなり、フラフラとよろける。


「赫から少し返事が遅れただけで連絡をよこさなくなる彼氏なんかやめて、俺のことを見てよ」


「………」


「俺なら、赫に辛い思いはさせない」


武内くんの熱い息が、耳に吹きかかる。


「今まで辛い思いをしてきた分、俺が癒すから」


武内くんが、そっと体を離す。


あたしの肩に両手を乗せ、両目をジッと見られた。


あたしも、武内くんの切ない目を、片目ずつ交互に見る。


「側にいれる俺が、守ってやる」


「………」


「だから……俺を見て」


ゆっくり、ゆっくり、武内くんの顔が近づいてきた。


キス、される。

そうわかったのに、体が固まって動かない。


どうしよう……

唇が、触れる……


どうすることも出来ずに、ギュっと強く目を瞑って顎を引いた。

その時……





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