小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「良ちゃ~ん」
良ちゃんの家に着き、声を掛けながらそーっと玄関を開ける。
島民は、出かける時か夜寝る時以外はあまりカギを閉める習慣がない。
良ちゃんの家もやっぱりカギは開いていて、あたしは圭と一緒に玄関に入った。
良ちゃんの両親は仕事中で不在だったので、そのまま良ちゃんの部屋へと足を進める。
「良ちゃ~ん」
再び良ちゃんに声をかけ圭とふたりで部屋に入ると、ブルーのタオルケットを頭までかぶっていた良ちゃんが、ヌクっと顔を出した。
うわ……辛そう……。
いつもは奥二重なのに、風邪でダウンしている良ちゃんの瞼は二重になっていてトロンと目尻が下がっている。
「うつるから来なくてよかったのに」
「あ、良ちゃん、起きなくていいから。ちゃんと横になってて」
きつそうに声を出す良ちゃんがベットから上半身を起こそうとしたので、あたしは良ちゃんの肩を押さえてまたベッドに寝かせた。
良ちゃんは大人しくタオルケットを首までかぶり、小さく微笑んだ。