小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「良ちゃん、こんな夜中に大声出したら……」
「歌恋は黙ってろっ!!」
キっと鋭い目で良ちゃんに睨まれ、あたしは良ちゃんに触れようとしていた手を引っ込めた。
「いきなり横から入ってきたおまえに歌恋を渡すかよ!」
良ちゃんは、武内くんを投げ捨てるように胸倉を離すと、怒りで乱れた息を整える為大きく呼吸をしていた。
肩が激しく上下していて、必死で怒りを堪えているのがわかった。
武内くんは、痛そうに唸りながら立ち上がり、乱れた服装を整える。
あたしは2人から少し離れて、身を小さくした。
「……手を出すって、そんな言い方はないだろ」
いきなり酷い目に合ったにも関わらず、武内くんの声は冷静だった。
それなのに、良ちゃんは気に食わないといった感じで武内くんを睨みつけている。
「俺は、ただ、赫が好きなだけだ」
ドクン――…
武内くんの視線に捕まり、心臓が大きく動く。
「好きだから一緒にいたいと思ったし、彼氏んとこに帰ってほしくなかった」
「………」
良ちゃんの表情が、一層真剣になる。
「ダメだ」