小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
首の後ろを手で押さえ、しばらく俯いてから顔を上げた。
「う~ん……
まぁ、そうだよなぁ」
苦しそうな武内くん。
フったのはあたしの方なのに、何だか心が痛んだ。
「でも……うん。
すっきりした」
柔らかな表情の武内くん。
「赫の返事、わかってたから」
……武内くん。
「赫が島に帰る前に、俺の気持ちも一応知っててもらいたかっただけ」
「………」
「彼氏に会っても、頭の片隅に俺の存在を置いておいてほしかったから」
武内くんは、本当にスッキリしたように表情を晴らした。
「まぁ、簡単には諦められないけど、赫を追い込むようなことはしないよ」
武内くんは、どこまで大人なんだろう。
良ちゃんにいきなり酷いことをされても怒らず、今だって辛いはずなのに笑顔を見せて。
「ちゃんと彼氏と話し合って、誤解を解いておいでよ
驚かせてごめんな」
武内くんは最後に口角を上げると、ゆっくりとあたし達に背中を向けた。
「あ、そうだ」
少しだけ歩いて、クルリと振り返った武内くん。
「おまえも頑張れよ」