小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
良ちゃんに言ったあと、あたしを見てまた微笑む。
「おやすみ」
武内くんは後ろ向きに手を振りながら、来た道を帰っていった。
武内くんの背中を見送り、ソロリと良ちゃんに目を向ける。
ふと、良ちゃんの右腕に赤いあざのようなものが見えた。
慌てて腕を掴むと、良ちゃんが『あっ!』と痛そうに声を上げた。
「良ちゃん、これ、さっきケガしたの?」
よく見ようとすると、良ちゃんはあたしの手を振り払った。
「大丈夫だよ」
そう言って、腕を隠そうとする。
「良ちゃん、いきなりどうしたの?
あんなに声を荒げる良ちゃん見たことなくてビックリしたよ」
良ちゃんの表情をうかがいながら聞く。
今日はまだこっちに戻ってくる日じゃないのに、どうして早く戻ってきたんだろう。
「気が気じゃなかった……」
俯く良ちゃんの口から出た言葉が、静かにアスファルトに落ちていく。
「島に帰ってる間、歌恋に何かあるんじゃないかって」
……何かある?