小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「アイツに初めて会った時から、ああコイツ歌恋のこと好きだなって気づいてたし」


初めて会った時から……?


だから、最初から武内くんのこと嫌ってたの?


でも、どうして?

良ちゃんが不機嫌になる理由はないのに……


「圭ならまだしも、アイツに歌恋を渡すとか考えられない」


今まで俯いて良ちゃんが、ゆっくりと視線を上げた。


オレンジ色の街灯に照らされ、良ちゃんの泣きそうな顔がはっきりと見える。


良ちゃんの顔を見上げると、一歩、また一歩と良ちゃんが近づいてきた。


アスファルトに良ちゃんの靴がこすれ、ジャリジャリと音を立てる。


「歌恋」


いつもの、良ちゃんの少し高めの声。

落ちつく声だ。


「今言うべきだと思うから、言うよ」


あたしは、口角を上げながら頷く。


「好きだよ、歌恋」


「………」


……え?

突然の告白に、自分の顔から徐々に頬笑みが消えていく。


「ずっと、好きだった」


良……ちゃん?


「子供の頃から、ずっと」


……嘘。



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