小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「相手が圭だから、僕は自分の気持ちを抑えてきたんだ」


良ちゃんの辛そうな顔が、ちょっとずつちょっとずつ近づいてくる。


「でも、他の男はダメだ」


「……良ちゃん」


「僕にとって、歌恋はかなり大切な存在だから」


良ちゃんの首が少し傾いた。


腰を折って、あたしと顔の位置を合わせる。


近づく良ちゃんとの距離に、どんどん影が出来ていく。


ダメ!


あたしは、反射的に顎を引いてしまった。


瞬間、ピタリと止まる良ちゃんの動き。


あたしは、そっと良ちゃんの肩に手を当て体を離した。


「……ダメだよ、良ちゃん」


「………」


「ごめん……」




< 466 / 495 >

この作品をシェア

pagetop