小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
ズキズキと心臓が疼く。
つばを飲み込む音が、とても大きく聞こえる。
良ちゃんは震える息を深く吐くと、少し俯いて前髪をクシャリと握った。
良ちゃんの心の痛みが伝わってくる。
「歌恋」
良ちゃんの、詰まる声。
前髪を握る力を強め、唇を噛みしめている。
「これで自覚した?」
「………」
「自分が、どれだけモテるか」
良ちゃんが前髪から手を離し、涙を堪え赤く腫れる目であたしを見た。
コクンと小さく頷くと、良ちゃんは更に辛そうに眉間に力を入れる。
「歌恋」
「……ん?」
「1回、抱きしめてもいい?」
また、小さく頷く。
すると、良ちゃんはあたしとの距離をゆっくり縮めてきて、そっと抱きしめられた。
固い良ちゃんの体。
ゴツゴツしていて、良ちゃんは男の子なんだなって、初めて考えた。