小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


あたしは意味がわからないまま、良ちゃんのお母さんに言われた通り星砂の浜に向かった。


海岸沿いの道を歩くと、規則的な波の音が家々に反射して何重にも重なって聞こえる。


相変わらず、ピンクや白のサンゴ礁が透けて見え、太陽の陽ざしを受けキラキラと眩しく光っていた。


“星砂の浜”そう書かれた看板の前で一旦立ち止まり、鞄の中から持ってきた星砂の入ったビンを取りだした。


この砂浜でもらった、圭からのプレゼント。


星砂は願いを叶えてくれるからと、圭が自ら集めてくれたんだ。


圭に会える日を願って、ずっと大切に持っていた。


それをギュッと胸に抱き、目を瞑る。


サラサラと流れる風の音と、海の上を飛ぶ鳥の鳴き声と。

あたしの全身を包んでくれる、優しい波音。


気分を和らげてくれる自然の音色を聴きながら、星砂に願いをかけた。


“圭と、もう一度笑い合えますように”


あたしの手に収まるビンが、どんどん熱を持って行く。


目を開けビンを傾けると、サラサラと音を立てて滑った。


砂浜に足を進めると、白い砂浜が軽やかに鳴く。


ああ……

ほんと、何もかもが懐かしい……




< 474 / 495 >

この作品をシェア

pagetop