小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「俺の、気持ち」
そう言って、あたしの手を引き、掲示板の前で立ち止まる。
「願いの叶う星砂がたくさんあるこの場所で、おまえと見たあの時の虹を作りたかったんだ」
圭と一緒に、折り紙で彩られた美しい虹を見る。
「“歌恋に会いたい”って、ずっと思いながらこの虹を作った」
そしたら。と、言葉を続ける圭は、隣のあたしを見下ろし口角を上げた。
「本当に、ここで歌恋に会えた」
嬉しそうに目を細める圭。
何だから照れ臭くなって俯きながら笑うと、泣きすぎて腫れた目が少し痛かった。
「どうして、ここにいたの?」
「あのね、ここに来る前にね、一旦学校に寄ってたの。
そしたら、たまたま良ちゃんのお母さんに会って」
「………」
「ここに来れば、キレイな虹が見られるって言うから来てみたんだけど、まさかこんなにキレイな虹が見られるとは思わなかった」
あたしが言うと、圭はフっと笑った。
「本当に、願いが叶って、俺ちょっとビビってる」
あたしは細かく頷く。
「歌恋」
圭に呼ばれ、あたしは『ん?』と太陽の陽ざしに目を細めながら圭を見上げる。