小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「母さんの店な、稔が見てくれることになったんだよ」
「そうなの!?」
あたしが驚くと、圭は微笑みながらあたしを見下ろした。
「だから、来年はそっちに行ける」
……そっか。
また、涙が浮かぶ。
「もう、おまえと離れることはないよ」
「……圭」
涙ぐむと、圭は困ったように笑いながらキツク抱きしめてくれた。
「一生、おまえを離さない」
そう言って、圭は顔をあたしに近づけてくる。
頬にかかる、圭の温かい吐息。
顎を少し上げ目を閉じると、圭の柔らかい唇が触れた。
1回目は、短めのキス。
2回目のキスは、長く長く今まで離れていた寂しさを埋めるように唇を重ね合った。
圭の作ってくれた、美しい虹の前で。
あの文化祭の時、無謀にもジンクスを実行したあたしの為に、圭はホースで偽物の虹を作ってくれた。
ガジュマルの木の下で、“圭とずっと一緒にいられますように”と願いをかけた。
そして、今。
15人の笑顔が作り出す絵の中に、今まで見たこともない美しい虹がかかっていて。
その前で、圭との“永遠”を誓いキスをした。