小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「次の方どうぞ~」
診察室のドアを開け、中へ次の患者さんを入れる。
「金城(キンジョウ)さん、ちょっと顔色がよくなってますね」
診察室に入ってきたおばあちゃんの顔を見ながら声をかける。
すると、おばあちゃんは嬉しそうに表情を明るめ、『先生のおかげです』と、ゆっくりとした口調で言った。
大学を卒業したあたしと圭は夫婦となり、あの日に誓った約束通り、島に帰ってきて診療所をつくった。
とても小さな診療所だけれど、毎日たくさんの患者さんが訪れる。
それは、体調の悪い人ばかりではない。
近くを通ったからと、休憩をしに立ち寄る人もいた。
きっと、圭の温厚な人柄が、こうやってたくさんの人を引き寄せるのだろう。
「金城さん。
ひ孫が生まれたんだって?」
白衣を身にまとった圭が、おばあちゃんの診察を終えて聴診器を耳から外しながら言う。
「そうなのよ~。
可愛い女の子」
喜ばしい話題に、更におばあちゃんが笑顔になる。