小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
15人の夢
「歌恋!」
窓の外から良ちゃんの声。
あたしは、待ってましたと鞄をむんずと掴んで部屋を飛び出し、スクールバックを背中にリュックのようにして背負いながら、毎朝のように階段を駆け降りる。
今日は制服じゃなくて体育服だから、いつも以上に階段を素早く降りられた。
階段を降り終わると、リビングからお母さんがあたしを睨みつけている。
「はいはい、ごめんなさい! 明日からは静かにします!」
あたしはお母さんの顔を見ずに言い、肩からずれ落ちてきたスクールバックを背負い直す。
「お母さんはそのセリフを聞いて18年になるんだけどね」
「はいはい! いってきまぁす!!」
靴のつま先を玄関のタイルにトントンと付け、靴を履きながら玄関を出た。
瞬間、ドクンっと心臓が高鳴る。