小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
今日は、夏休み直前の課外授業の日。
全校生徒15人でキャンプをする。
午前中は圭のお父さんを講師に招いて海でダイビングの体験をし、夕方にこの島唯一のキャンプ場に移動。
春の体育祭後、全てに燃え尽きてやる気のなくなっていたみんなだったけど、1泊2日で行われるこの恒例行事には再び盛り上がっていた。
「じゃあ、歌恋には日焼け止めとか虫よけスプレー貸してやんない」
「え? そんなもの持ってきたの? 乙女か!」
あたしはプハっと笑いながら言うと、良ちゃんはムスっとしてあたしを振り返った。
「誰の為に持ってきたやったと思ってんの?」
「え?」
「いつも“虫に刺されてかゆい~”とか言ってすぐに流血ものにするのはどこの誰?」
「う……」
あたしは顔から笑みを消して、言葉を詰まらせた。