小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
自転車をこぐ良ちゃんのフワフワの黒髪と、あたしのセミロングのストレートの黒髪が風に揺れる。
あたしは、毎朝良ちゃんがこぐ自転車の後ろに立って、潮の匂いを運ぶ風を浴びるのが好きなの。
“後ろで”っていうのがポイント。
自分でこぎながらじゃ、楽しめないでしょ?
「そう言えば、今日テスト返ってくる日だよね」
自転車をこぎながら思い出したくもない事を言ってくる良ちゃん。
あたしは良ちゃんの肩をバシリと叩いた。
「もう! 風を浴びて超いい気分だったのに、嫌なこと言わないでよ」
あたしが膨れながら言うと、良ちゃんはハハっと笑った。
「歌恋、この前のテスト最悪だったもんね。今回のテストはどうだったの?」
「良ちゃん。ダメだって知りながら、わざと聞いて楽しんでるでしょ」
「べーつにぃ」
そう言いながら、良ちゃんはウシシと肩を上下させた。