小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「あれ? 圭、どこ行くの?」
そんな中、静かにあたし達の輪から離れた圭。
あたしが声をかけると、圭は鼻の前に人差し指を出し「シー」っとジェスチャーした。
圭の行動に気づいたのは、あたしと良ちゃんと稔くんだけ。
稔くんには圭の行動が読めているようで、歩いて行くお兄ちゃんの背中を見て微笑むと、サッカーをする男子の輪の中に走って行った。
あたしと良ちゃんは、目を見合わせて首を傾げ、ふたりで圭の背中を追う。
圭は何の迷いもなく林の中を歩み続け、どんどんキャンプ場から離れていく。
この島で育って17年経つけど、この辺りは全くわからない。
何の目印もない、同じような景色がただひたすら続く道。
「ねぇ、圭! どこ行くんだよ!」
良ちゃんが、あたしの隣で圭に叫んだ。
だけど、圭はあたし達を振り返ることなく歩みを進める。