小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
補習授業
受験生には夏休みなんてないって、覚悟していたつもりなんだけど……。
「あ~! もうヤダ~!!」
夏休みに入ると、あっという間に時間が流れていき、気づけばもう8月。
毎日繰り返される補習授業に、もういい加減嫌気がさしてきた。
教室の窓の手すりを掴み、グイっと身を乗り出しグラウンドに向かって叫ぶ。
校舎とグラウンドの間にある背の低いガジュマルの木が、補習に苦しむあたしの叫びを聞いて嬉しそうにカサカサ笑っていた。
快晴の空には、大きな入道雲がふんわり浮かんでいて、教室から見える海も、太陽の陽ざしを反射させながら楽しそうに波打っている。
「あ~!! こんなに勉強ばっかりしてたら、余計アホになっちゃうよ~!!」