小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「うるさいよ! 歌恋!」
窓の外に向かって叫び続けていたら、教室の中から良ちゃんのお叱りの声が。
口を尖らせて振り返ると、良ちゃんは自席に座りながら片方の眉を上げていた。
「叫んでる暇があったら、問題解きなよ! 全然進んでないじゃん!」
良ちゃんも毎日続く補習にイライラしているのか、普段は隠れているブラックな良ちゃんが出現。
「こっちまで集中力なくなるじゃん!」
プンプン怒る良ちゃんは、左肘を机に付き頭を抱えながら数学の問題を解いていた。
「ごめんね良ちゃん、邪魔して。真面目にやるよ」
ガガガと音を立てて椅子を引いて座ると、右隣の机で伏せて寝ていた圭がムクリと顔を上げた。
「……キーキー、キャーキャー、喧嘩すんなよ」
眩しそうに目を細めながら言うと、圭はファーと大きな欠伸をする。