小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
この島は、台風が直撃する確率が高い。
いくつもいくつも台風が通過していって、自然の爪痕がたくさん残っている。
「でも、台風が来たら、補習授業なくなるか!」
あたしは最後の一口を口に入れて笑いながら言った。
一日でもいいから補習授業がなくなったらラッキーだな。
「期待すんなよ。こういう時に限ってそれるんだから」
とっくに食べ終わっていた圭が、アイスの棒を口にくわえながら目を細めてあたしを見ている。
少しくらい夢を持たせてくれてもいいのに……。
「あっ! 当たった!」
左隣から、良ちゃんのテンションの高い声が上がった。
ジャーン。と、あたしと圭に“あたり”と印字された棒を見せてくる。
「補習頑張ったご褒美だね!」
ニッコリ笑った良ちゃんは、「おばちゃ~ん、当たった~!」と軽い足取りで商店の中に消えてった。