小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「おばさんの体調さ、また悪いの?」
圭とふたり残されたあたしは、アイスの棒でアスファルトに落書きをしている圭に話しかけた。
今日も机に伏せて寝てたし、きっとまた店番をしながら勉強をしてたんだよね……。
圭は眩しそうに眉間にシワを寄せると、スッと立ち上がり、商店の前にあるごみ箱にアイスの棒を捨てに行った。
「ぜんそくが酷くてさ、肺炎起こしかけてる」
アイスの棒と一緒に、言葉もごみ箱に落とす。
「今の俺には、店番を変わってやることぐらいしかできないから……」
クルリとあたしを振り返った圭は、とても切なく微笑んでいた。
「早く島出て勉強して、母さんを助けてやれる力を付けたくてさ……」
圭は言葉を区切って口元に笑みを浮かべ、首をひねった。
「完全に焦ってんな、俺」
圭……。