小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
キャンプの日、圭はお母さんの為に医者になりたいと言った。
補習授業では殆ど机に伏せて寝ているけど、テストは常に高得点だし、すでに大学の合格ラインに達している。
家でどれだけの時間を使って勉強をしているんだろう。
努力してる姿を人に見せないのが圭だけど、ひとりで大きな不安を抱えないでほしい。
相談を受けたからって、あたし達が何かしてあげられるわけじゃないけど、幼なじみのあたしや良ちゃんをうまく使う方法はあるんじゃない?
それが何かは、あたしにもよくわからないんだけど……。
「グレープフルーツ味ゲット~!」
“あたり”が出てもう1本ゲットした良ちゃんが上機嫌で商店から出てくる。
圭と同時にドアの前の良ちゃんを見ると、
「そんな欲しそうな目をしてもあげないからね」
と、アイスを少し後ろに引き、あたし達を睨みつけてきた。
「いらねーし。つーか、腹壊したってあとで泣くなよ」
子供のような行動をとる良ちゃんを見て、圭が呆れて鼻で笑った。