小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
良ちゃんはまだ一口しか食べてないのに、あたしと圭の一口が大きかった為、小さなアイスはもう半分以上なくなっていた。
「そんなに食べたいなら買ってきてよ! これは僕のアイスなんだから……って、あーっ!」
この暑さのせいですぐに溶けてしまったアイスが、太陽に熱されたアスファルトの上にボトリと落ちた。
みるみるうちに液体化していくグレープフルーツ味のアイス。
個体の時は薄いピンク色だったのに、液体になるとただの黒い水たまりだった。
あたしと圭は、ヤベっと肩をすくませ、良ちゃんの雷が落ちる前にそーっと遠ざかる。
圭は自転車にまたがり、あたしは良ちゃんの自転車の後ろに身を縮めた。
「もう! ふたり共、僕のアイスを返せー!!」
「ハハ!」
良ちゃんの怒りが爆発すると、圭は鼻筋にシワを作りながら笑い、自転車をこぎ始めた。
それを追いかけようと、自転車にまたがる良ちゃん。
……って。