俺は獣人×私は人間


俺と女が睨む中

女の様子を伺っていると

かすかに震えているのが

わかった。


「お前、この俺を殺そうとしてるのか?」


「…………」


女はなにも言わず、

ただ俺に弓矢を向けていた。


「……ねがぃ……」


は……?

突然、女は弓を落とし、

俺に近づいてきた。

なんだ……?


「私を……殺して…?」


握っていた剣を首にやり、

潤んだ瞳で

そう訴えてきた。

何なんだ…!

しかし、人間…いや、術者が

自分から獣人に殺されるのを

望むのはかなり精神的に

参ったときしかないこと。

つまり、俺が殺れば……。

そう思ったとたん、

女の首に向かって

剣を振った。
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