光のもとでⅠ
「悪いけど……手が空いててもそれを受け取るつもりはないから」
 言って歩き始めれば違う女子たちに呼び止められる。
 こんなことを繰り返していたらいつまでたっても事務室にたどり着けない。
 またしても断りを入れて歩きだすが、今度は呼び止められそうにもない速度に転じた。
「なんかさ、司を呼び止める子たち増えてない?」
 ケンの意見に同意。今までなら呼び止められることはそんなになかった。それはきっと初等部、中等部での俺の行いを見てきたからだろう。それは高等部になっても変わらないはずなのに――。
「あれじゃない? 一応、司も人間なんだって認識されたんじゃない?」
「は?」
 優太の言葉にケンが疑問符つきの言葉を返す。
「翠葉ちゃんのことを好きになった司なら、誰かを想う気持くらい受け止めてくれるかも、とかさ」
「「ありえない」」
 ケンと声が重なり顔を見合わせるも、一瞬で前方にへ視線を戻した。
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