光のもとでⅠ
「……どうして?」
「どうしてって……。だからさぁっ、今日ホワイトデーだって話したじゃんっ」
「え……あ、うん?」
 どこか要領を掴めずに開けられた自室のドアを眺めていた。
「いらっしゃいいらっしゃい!」
 どうしたことか、唯兄はウキウキした感じでツカサを部屋に招き入れる。
「お茶持ってきてあげるからごゆっくり!」
 唯兄はにんまりと笑ってドアを閉じた。
「何、あの無駄なテンション」
 ツカサが訝しがる。
 けれども、理由をわかりかねる私に答えられるわけがなく、「さぁ?」と首を傾げるに留めた。
「それ、今日休んだとこの分?」
 テーブルに出した教科書を見られてコクリと頷く。と、
「これ、簾条から預かってきた」
 ツカサがかばんから取り出したのはクリアファイルにまとめられたルーズリーフ。
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