光のもとでⅠ
 この日のびっくりは蔵元さんだけでは終わらなかった。
 蒼兄の部屋を出て右に曲がると、廊下には紙が散らばっている。
 それなりに何枚ずつかにはかさなっているけれど、かろうじて足の踏み場がある程度。
 それは私の部屋の中まで続いていた。
 しかもでかでかと社外秘と書かれたダンボールまでもが置かれている。
「……見なかったことにしよう」
 思いなおし髪の毛をまとめて洗面を済ませに行く。
 顔を洗ってサッパリすると、部屋に戻ってきて制服に着替えた。
 この頃には幾分か頭が回り始めていた。
 廊下の資料らしきものを踏まないように歩くと、蔵元さんがリビングから顔を出した。
「先に十階へ上がられてください。靴もすでに十階へ運んであります」
 お礼を言ってから部屋の突き当たりにある階段を上り始める。
 最後の一段を上り終え、ドアを目の前にして少し悩む。
「……やっぱりノックかな」
 考えていると、ドアが内側から開かれた。
「おはよう」
 静さんが出迎えてくれたのだ。
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