光のもとでⅠ
「ほら、そこに座る」
 指示されたとおりに座ると、次は上から夏用の軽い羽毛布団を掛けられた。
「冷やさないように」と。
 その気遣いに、蒼兄がもうひとり増えた、と思った。
「また背中合わせで話すほうがいい?」
 訊かれて、昨日のお話を思い出す。
「……隣がいい」
「……横に並ぶってこと?」
 それにコクリと頷いて、ソファを背もたれ代わりにした。
 右に唯兄、左に私。
 目の前には大きな窓、床にはトレイがあるだけ。
「何から話したらいいかなぁ……」
 唯兄の言葉に私はドキドキしていた。
「あのさ、俺もずるい人になっていい?」
「……え?」
「俺はたぶん、もう大丈夫だけど、それでもあんちゃんとリィと兄妹ごっこを続けたいんだよね」
 唯兄は少し恥ずかしそうに、はにかんだ顔でそう口にした。
「そんなの、大歓迎だよ?」
「……現時点ではね? 言質取るために言いました、はい」
 と、唯兄は苦笑いを見せる。
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