光のもとでⅠ
 どうして言質なんて取る必要があるの……?
「これから俺が話す内容で、リィが気持ち悪いって思うかもしれない。でも、俺は兄妹ごっこを続けたいんだよね……」
 そう、念を押すように言われた。
「昨日、リィが寝てからオルゴールを開けた。中にセリからの手紙が入っていて、それも読んだ」
 ……やっぱり、お手紙が入っていたんだ。
「リィの言うとおり、俺を傷つけるような言葉は何ひとつ書かれていなかった。むしろ、嬉しいっていうか、切ないっていうか……まだこの気持ちにどんな言葉を当てはめたらいいのかわからないんだけど……」
 唯兄はジーパンのポケットから丁寧に折りたたまれたくしゃくしゃの紙を取り出して、
「読む?」
 それがその手紙なのだろう。
「……読んでもいいの?」
 訊いてはみたけれど、実際はそれを手にするのも怖かった。
「いいよ。でも、リィは引くかもしれない」
 唯兄はどこか寂しそうに笑う。
 手紙を受け取るときに唯兄の手に触れると、その手はひどく冷たかった。
 さっき、手を掴まれたときはもっとあたたかい手をしていたのに。
 私は緊張すると手が冷たくなるけれど、もしかしたら唯兄もなのかな、と思った。
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