光のもとでⅠ
「価値観は、ひとりひとり違ってもいいと思わない?」
 ある意味、自分に言い聞かせるように口にした。
 すると、目を見開いて私を見ている唯兄の顔があった。
「……だから、一般論に左右されなくてもいいと思う。じゃないと私は困る――」
「でもさ、倫理的な問題として……」
「倫理、かぁ……。みんなが無秩序になったら困ることはたくさんあると思うの。でも、唯兄とお姉さんくらい、ダメかな? そこだけ目を瞑っちゃうのはどうだろう?」
 唯兄は黙ったままだった。
「唯兄がお姉さんのお見舞いに行けなくなったのはそういう理由から?」
 だとしたら悲しいね……。
 お姉さんはあんなにも会いたがっていたのに。
 実際にはお見舞いに来てくれているのを知っていたみたいだけれど、それでも、きっと起きているときに来てくれて、もっとたくさんお話がしたかっただろうな……。
「……リィが困るような内容の話をしてもいい?」
 そう切り出した唯兄はこんな話をした。
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