光のもとでⅠ
「俺さ、理性の歯止めが利かなくなりそうだったんだ。眠っているときはキスで済んでた。でも、もし気持ちを打ち明けたり、想いが通ってしまうことがあったら、セリを抱かずにはいられなかったと思う。でも、セリは重篤な心疾患で入院してて、余命いくばくって言われてて、そんなことをしようものなら発作を起こしてたと思う。だから、行けなかった……」
 確かに困る内容だ……。
 どうしよう……。
「……唯兄、お姉さんに会いに行こう」
「え?」
「お墓参りに行こう? お盆には迎え火をして来てもらおう?」
 私にはこんなことしか言えない。
「……お墓ないんだけど。因みに迎え火って何……?」
 今度は私が絶句する番だった。
「唯兄、もしかしてまだ骨壷が手元にあるの?」
「うん。ホテルの金庫の中」
 どうして金庫の中なんだろう……。
 不思議に思いつつ、もうひとつの疑問を口にする。
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