光のもとでⅠ
「お墓ってどうやって作るんだろう……」
「……蔵元さんかオーナーにでも訊いてみる。そうだよね、まずはお墓作らなくちゃ……」
「迎え火っていうのはお盆のときにご先祖様や亡くなった方をおうちに呼ぶ儀式みたいなもの。ちゃんと送り火って言って、また天国に戻るためのお見送りの儀式もあるの」
「へぇ……知らなかった。あとで調べてみよう」
 なんとなく、困った内容からは話が逸らせてほっとした。
「リィ、オルゴール聞きたい?」
 いたずらっ子みたいな顔で訊かれる。
「聞きたいっ!」
「この鍵をね、こうやって合わせてひとつにして……この鍵穴に入れる。で、回すっと」
 唯兄は目の前でやって見せてくれた。
 鳴り出した音楽はリストの愛の夢だった。
 フローリングの床が反響板の役割を担い、澄んだ音が大きく響く。
「今まで俺が持っていたこっちの鍵、リィが持ってて?」
 差し出されたのは赤い石がはめ込まれた鍵。
「……いいの?」
「きっとセリもそれを望んでると思う」
 そう言ってにこりと笑った。
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