光のもとでⅠ
もともとは普通の壁面だった。単なる箱といえなくもない壁面でクライミングができるようにしてくれと要望が出されたのはいつのことだったか……。
確か、美鳥さんのご主人が存命中だったはず。
費用の一切を対馬家が負担し、それが実現された。
「あれ、美鳥さんの要望で作られたらしい」
ポカンと口を開けていた翠が、
「……なんだかすごい人なのね?」
と、首を傾げながら訊いてくる。
見せるものは見せたので、そのまま翠をベッドへと誘導した。
「年は姉さんや栞さんのひとつ上。言えることは独特な世界観を持った人」
そこへ御園生さんが戻ってきた。
「女性であの筋肉、俺負けたかも」
それはそうだろう。あの人は日々体を鍛えているのだらから。
このマンションで見かける率が一番高いのはスポーツジムだ。次に駐車場の壁面。駐車場ではなく、あくまでも壁面。
マンションの表通路や一階のカフェフロアで見かけるほうがよほど珍しい。
確か、美鳥さんのご主人が存命中だったはず。
費用の一切を対馬家が負担し、それが実現された。
「あれ、美鳥さんの要望で作られたらしい」
ポカンと口を開けていた翠が、
「……なんだかすごい人なのね?」
と、首を傾げながら訊いてくる。
見せるものは見せたので、そのまま翠をベッドへと誘導した。
「年は姉さんや栞さんのひとつ上。言えることは独特な世界観を持った人」
そこへ御園生さんが戻ってきた。
「女性であの筋肉、俺負けたかも」
それはそうだろう。あの人は日々体を鍛えているのだらから。
このマンションで見かける率が一番高いのはスポーツジムだ。次に駐車場の壁面。駐車場ではなく、あくまでも壁面。
マンションの表通路や一階のカフェフロアで見かけるほうがよほど珍しい。