光のもとでⅠ
 思いながら、
「以前にも何度か……。外人の中に混じってもこのペースですよ」
「は?」
「静さんが客を招いてホームパーティしているところに階を間違えて帰ってきたことがあります。でも、この人語学堪能なんで……。そのまま混じってパーティー楽しめちゃう人なんです」
 ザックリと説明すると、
「どこでもバイリンガル?」
 言いながら御園生さんは首をさらに傾げた。
 俺と海斗はリスニング対策として美鳥さんに英語を見てもらっていた時期がある。
 本当にすごい人だけれど、本当に変な人でもある。
 この人のお兄さんは双子で美鳥さんと同じくロッククライマーだ。
 ロッククライマーの中ではかなり有名らしいが、クライミングスクールを開いているくせに、すぐに海外へと出かけてしまうらしい。
 ゆえに、その間のスクールを任せられるのが美鳥さんなのだ。
 が、美鳥さんはほかにも仕事を抱えているため、急な予定を不本意に突っ込まれることを一番嫌う。
 しかし、この様子では今回も急なシフト変更だったのだろう。
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