光のもとでⅠ
 その寝ていた人間がむくりと起き上がった。
 寝ぼけ眼で、
「そこの知らない君。今は何時だろうか」
 御園生さんは少しびっくりしつつも、「六時過ぎです」と答える。
「そうか、ありがとう。ところで、君は誰だろう? ……あぁ、すまん、その前に私の自己紹介だな。私は対馬美鳥と申す」
「自分は御園生蒼樹と申します。今週からこちら、ゲストルームに妹とお世話になっています」
 美鳥さんは俺と海斗の顔を見て、最後はキッチンへと視線を向けた。
「妹君はいないようだが?」
「翠葉は部屋で休んでいます」
「ソウジュにスイハとはきれいな響きだが、どういう漢字を書くのだろうか」
 美鳥さんは起き抜けながら、自分の探究心をずい、と前進させる。
「自分は、蒼いという字と樹木の樹で蒼樹。妹は翡翠の翠に葉っぱの葉で翠葉です」
「それはとても美しくきれいな名前だな!」
 目を輝かせて言うと、
「自分は美しい鳥と書いて美鳥と申す」
「美鳥さんのお名前もきれいですね」
 御園生さんは穏やかな表情でそう返した。
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