光のもとでⅠ
「それはおかしいな。十七歳ならば司くんと同い年であろう? 進級できなかったのか、それとも休学していたのか」
 そこまで口にして御園生さんに尋ねる。
「去年半年以上入院していたんです。なので、一度高校を辞めて、今年新たに藤宮を受験しなおして入学しました」
「ほぉ、優秀なのだねぇ……」
「いえ、それほど優秀ではありません。ただ、合格できるくらいに努力をしただけです」
 御園生さんは翠を甘やかすことは甘やかすが、こういう場面では誇大評価はしないようだ。
「それでも大したものだ。恐れ入った」
 美鳥さんはソファの上で正座をする。それを見た御園生さんも慌ててソファの上で正座した。
 ふたりとも何やってるんだか……。
 そこにジュー、と肉の焼ける音が聞こえてくる。
 美鳥さんが鼻をきかせ、
「今日はハンバーグのようだね」
 と、ニヤリと笑みを深める。
 その表情があまりにも野生的すぎた。
 どうもこのマンションに住む住人は若干個性的すぎる気がする。
 静さんの人脈以前に、嗜好に問題があるような気がした。
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