光のもとでⅠ
 四人揃って翠の部屋を気にしつつリビングで待つこと数分。
 ドアが開くと、美鳥さんがひとりで出てきた。
「鏡をひとつ貸してもらえないだろうか?」
「鏡、ですか?」
 栞さんは首を傾げながら、洗面所から割りと大きな手鏡を持ってきた。
「うむ、そのくらいの大きさがちょうどいいだろう」
 答えると、今度は自分の荷物の中から化粧ポーチらしきものを取り出し、いくつかのアイテムを持って翠の部屋へと戻った。
 ドアが閉まってしばらくすると部屋の照明が点いた。
「何してんだろうな?」
 海斗が立ち上がると栞さんも立ち上がった。
「とりあえず、夕飯を運びましょう」
 俺と御園生さんはキッチンへ入る栞さんに続いた。
 夕飯はハンバーグとサラダ、スープということもあり、そうたくさんのプレートが並ぶわけではなく、三人が数回往復すればあっという間に準備が整った。
 運び終えると、海斗と栞さん、御園生さんがじっと廊下の先を見つめる。
 ……鏡ふたつを持ち込み照明が点いたともなれば、何をするのかは想像に易い。
 翠にキスマークを見せるのだろう。
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