光のもとでⅠ
夕飯を食べ終え、美鳥さんが帰り支度を始めると、翠が咄嗟に立ち上がろうとした。
考える間もなく手が伸びる。
「不注意すぎ」
翠の右手首を掴み制すると、翠はとても気まずそうな顔をした。
あれだけ毎日御園生さんに気をつけろと言われていてこの様だ。
御園生さんの心配症が過剰になっても仕方がない気がしてくる。
「翠葉くん、ここでかまわないよ。あぁ、そうだ。これは君にあげよう」
美鳥さんから翠に渡されたものは、小さいスティック状のものだった。
「うまく活用するといい」
翠はキャップを開けてはすぐに閉めてしまった。
「それ何?」
俺と海斗が翠の手にあるものを覗き込むと、その視線から守るように握りしめ、「秘密兵器」と小さく笑って答えた。
気にはなるものの、翠が笑っている。
それだけでいいと思えた。
そう思ったのは俺だけではないらしい。海斗も追随することはやめたようだ。
別に特別なことは望んでいない。
ただ、目に届くところで笑っててくれさえいればそれでいい。
今は、それでいいんだ――。
考える間もなく手が伸びる。
「不注意すぎ」
翠の右手首を掴み制すると、翠はとても気まずそうな顔をした。
あれだけ毎日御園生さんに気をつけろと言われていてこの様だ。
御園生さんの心配症が過剰になっても仕方がない気がしてくる。
「翠葉くん、ここでかまわないよ。あぁ、そうだ。これは君にあげよう」
美鳥さんから翠に渡されたものは、小さいスティック状のものだった。
「うまく活用するといい」
翠はキャップを開けてはすぐに閉めてしまった。
「それ何?」
俺と海斗が翠の手にあるものを覗き込むと、その視線から守るように握りしめ、「秘密兵器」と小さく笑って答えた。
気にはなるものの、翠が笑っている。
それだけでいいと思えた。
そう思ったのは俺だけではないらしい。海斗も追随することはやめたようだ。
別に特別なことは望んでいない。
ただ、目に届くところで笑っててくれさえいればそれでいい。
今は、それでいいんだ――。