光のもとでⅠ
兄さんが振り返り、
「司、頭のマッサージしてあげて」
無言で頷くと、翠の頭が右に傾く。
即ち、「なんで先輩?」というところだろうか。
それに気づいた兄さんが説明を加えた。
「翠葉ちゃん、司は俺と姉さんのマッサージを頻繁にやらされているからポイントは心得ているし、割と腕はいいと思うよ」
「……必然と上達するくらいには注文が多かった、の間違いじゃなくて?」
注文が多いのは主に姉さんだけど……。
翠の脇に腰を下ろすと、こめかみのあたりから徐々に指圧を加える。と、
「気持ち、いい……」
呟くような声が聞こえた。
「それは何より……」
もっとほかに答えようがあるだろう。でも、俺には思いつかない……。
人間関係において、どうしてこんなにも不器用なのか。
どんなことでもそつなくこなす自信はある。それに、相手が翠でなければこんなに悩むこともないのに――。
悩んでいるのは、本当は違うことを伝えたいと思っているからなのだろうか……。
翠がからむと自分の中にある感情と向き合う羽目になることが多い。
多すぎる――。
「司、頭のマッサージしてあげて」
無言で頷くと、翠の頭が右に傾く。
即ち、「なんで先輩?」というところだろうか。
それに気づいた兄さんが説明を加えた。
「翠葉ちゃん、司は俺と姉さんのマッサージを頻繁にやらされているからポイントは心得ているし、割と腕はいいと思うよ」
「……必然と上達するくらいには注文が多かった、の間違いじゃなくて?」
注文が多いのは主に姉さんだけど……。
翠の脇に腰を下ろすと、こめかみのあたりから徐々に指圧を加える。と、
「気持ち、いい……」
呟くような声が聞こえた。
「それは何より……」
もっとほかに答えようがあるだろう。でも、俺には思いつかない……。
人間関係において、どうしてこんなにも不器用なのか。
どんなことでもそつなくこなす自信はある。それに、相手が翠でなければこんなに悩むこともないのに――。
悩んでいるのは、本当は違うことを伝えたいと思っているからなのだろうか……。
翠がからむと自分の中にある感情と向き合う羽目になることが多い。
多すぎる――。