光のもとでⅠ
 唯の代わりに秋斗様を支えると、
「若槻、オーナーに連絡を」
 あ……静様に連絡を入れることなんて俺はすっかり抜け落ちていた。
「秋斗様の血液がRHマイナスABであることはご存知ですか?」
 須藤さんに訊かれて知っている旨を伝えると、秋斗様は二度目の吐血をした。
 秋斗様は意識が朦朧としているのか、苦しそうという印象はない。
「この分量を吐血したとなれば、輸血の恐れが出てきます。その際には藤宮病院に搬送されたほうが良いでしょうから、オーナーから連絡を入れていただくのが一番かと思います」
 そう言うと、須藤さんは血まみれになった秋斗様の顔や胸の当たりを白いナフキンで拭き始めた。
 唯の連絡が終わると、間もなくして静様が部屋に入ってきた。
 秋斗様を見てすぐ携帯を手に取る。
「私だ。――今は手短に済ませる。秋斗が吐血して倒れた。意識はほぼないものと思われる。救急車で搬送の際には藤宮病院を指定する。あとは病院サイドでどうにかしてくれ。吐血の分量はかなり多い。もしかしたら輸血が必要になるかもしれない。楓、あとは任せたからな」
 それだけを伝えるとすぐに切った。
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