光のもとでⅠ
 秋斗が吐血、ね……。
 コーヒーの飲みすぎと日ごろの不摂生。加えて、楓からの電話と私からの電話。
 それだけで一気に胃にきたか……。
 ま、相当気に病んでたってことね。
 これは翠葉には知られたくないわね……。
 楓が言うとおり、院内血はめったにやらない。が、RHマイナスABは輸血パックの在庫は極端に少ない。
 念のため、司には連絡を入れたほうがいいだろう。
 今の時間だと部活か生徒会。
 携帯にかけて出なければ部活ね。
 なんとしてもマンションに帰る前には捕まえたい。
 司の携帯にかけると意外と早くに出た。
 携帯の向こうから嫌そうな声が聞こえる。
『何』
「今どこ? 周りに人は?」
『ひとりでテラスを移動中』
「秋斗が倒れた。大量に吐血したらしい。状況は詳しくわかっていないけど、もしかしたら輸血が必要になるかもしれない。病院側で手配できれば問題ないけど、手配できなかった場合には司の血が必要になる」
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