光のもとでⅠ
「なんだよ……」
 まじまじと秋兄を見ていると、とても嫌そうに訊かれる。
「いや、秋兄、実は痛覚神経切れてたりするんじゃないかと思って」
 本来なら転げまわるほどには痛いはずなんだけど。
「あぁ、点滴入れてもらったら少し痛みが引いたかな」
 なるほど……。
 輸液に痛み止めやその他の薬が入っているのか。
 そこへ姉さんと看護師が数名入ってきた。
「さ、行くわよ」
 すでに術着に着替え、白衣を羽織った姉さんに言われると、秋兄は「はいはい」と適当に答えた。
 姉さんは俺に視線を移すと、
「オペ室のある階の処置室に看護師を待機させてあるわ。司はそっちでやってもらって」
「了解」
「……輸血足りてるんだろ?」
 と、秋兄が会話に入ってくる。
「足りてるわよ。おかげ様で問題なく、ね。ただ、司だって何かしたいのよ。ほら、司は行った行った」
 と、半ば追い出されるようにして病室を出た。
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