光のもとでⅠ
「おい……おーい!」
 ケンに声をかけられ、我に返る。
「司、的外したぞ?」
 ……俺、今何やってた?
 悠々と幼少のころを思い返しているうちに、日常と化している八節をそのまま行動し、矢を放っていたらしい。
「最悪――」
「おまえ、これが今年初の的外しじゃね?」
 ケンの言うとおりだった。
 今日は朝から会いたくない人間には会うは、考えたところで建設的な答えが出てくるものではないことを考えたり、本当にどうかしてる……。
 もう一度気を取り直して弓を起こし、矢を持った。が、すぐに力を緩める。
「悪い、先上がる」
 こんなに気が散ってる状態でやってもなんの意味も成さない。
「司、何かあったか?」
 ケンに訊かれるも、何をどう話したらいいのかもわからない。
「いや……」
「おまえさぁ、昔っからだけど自分の中に溜め込みすぎなんだよ。たまには吐け吐け」
 ケンらしい言葉が道場に響く。
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