光のもとでⅠ
 そんな理由ならば、幼稚舎が一緒だった人間は皆幼馴染という枠に入るのではないだろうか。
 冗談じゃない……。
 ただ、このふたりはクラスが変わっても声をかけてくる人間だった。
 高等部に上がってから、同じクラスになった友達だとケンに紹介されたのが優太だ。
 だから何、と思った記憶なら今でもある。
 その数ヵ月後、優太とは生徒会で関わることになった。
 今ではクラスも生徒会も同じ。
 わからないものだな……。
 人の出逢いやつながりなんて。
 翠だってそうだ。
 翠が元気だったら光陵に通っていたかもしれない。
 もし、翠が留年しなかったら藤宮に来ることはなく、俺たちは出逢わなかったかもしれないのだ。
 俺と翠が同じ学校で同じ学年だったとしても、こうやって話すことなどなかったかもしれない。
 また、翠と秋兄も同じく――。
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