光のもとでⅠ
10 Side Tsukasa 03話
道場を出て桜香苑を歩く。
もう新緑とは言えず、少し深まった緑の葉を茂らせ、風でサワサワと音を立てていた。
ふと立ち止まったのは翠がよく座っているベンチのあたり。
ベンチのあたり、というのは、翠はベンチに座っていることは少なく、たいてい芝生の上に座っているからだ。
午前とはいえ、もう陽は高く上っている。
「暑いな……」
弓道場は桜香苑の中にあり、道場のすぐ脇には藤山から流れてくる小川と、それが流れ込む池がある。
水辺に建っているというだけで、吹き込む風は割と涼しい。
ただ、この時期は湿気がひどく身体にまとわりつく。
道着のまま芝生に座る。
最初は座っていたのだが、気づけば身体を倒し横になっていた。
空模様は相変らず曇り。
「これが青空だったら気持ちいいんだろうな……」
翠もそんなふうに空を見ているのだろうか。
翠は常日頃から空や風、そこにあって当たり前のものを嬉しそうに眺め、または感じる。
その理由はなんなのか……。
それらから得られるものはどんなものだろう。
もう新緑とは言えず、少し深まった緑の葉を茂らせ、風でサワサワと音を立てていた。
ふと立ち止まったのは翠がよく座っているベンチのあたり。
ベンチのあたり、というのは、翠はベンチに座っていることは少なく、たいてい芝生の上に座っているからだ。
午前とはいえ、もう陽は高く上っている。
「暑いな……」
弓道場は桜香苑の中にあり、道場のすぐ脇には藤山から流れてくる小川と、それが流れ込む池がある。
水辺に建っているというだけで、吹き込む風は割と涼しい。
ただ、この時期は湿気がひどく身体にまとわりつく。
道着のまま芝生に座る。
最初は座っていたのだが、気づけば身体を倒し横になっていた。
空模様は相変らず曇り。
「これが青空だったら気持ちいいんだろうな……」
翠もそんなふうに空を見ているのだろうか。
翠は常日頃から空や風、そこにあって当たり前のものを嬉しそうに眺め、または感じる。
その理由はなんなのか……。
それらから得られるものはどんなものだろう。