光のもとでⅠ
 ほどけると、白く華奢な手が現れた。
 別に怪我などはしていないらしい。
「ありがとう」
「で、これの理由はなんなのかしら?」
 私が訊くと、思い切り苦笑いを返してきた。
 そしてなぜか海斗を見る。
 海斗も意味がわからないようで、「何」と翠葉に訊き返す。
「みんなに話したのかな」
「あぁ……どう話したらいいものかと」
 翠葉の質問に海斗は曖昧に答えた。
 なんなのよ……。
 私たちはこの一週間一切連絡を取っていなかった。
 けれど、海斗ひとりが唯一翠葉と会っていたのだ。
 きっとその間にあった出来事なのだろう。
「あのね、一から話し始めるとすごく長くなるのだけど、みんな時間は大丈夫?」
 翠葉は私たちの顔を心配そうに代わる代わる見る。
「……御園生、どんだけ話すことあるんだよ」
 苦笑しながら言ったのは佐野だ。
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