光のもとでⅠ
「冷静っていうか……訊かれた時点で自分の中に答えがあっただけだよ」
「因みに、その答えは?」
私が訊くと、小悪魔のような笑みを浮かべて、「秘密」と楽しそうに口にした。
本当に読めないわ……。
妙にてんぱっているときもあるのに、周りが動揺しているときほど落ち着いているのが海斗なのだ。
割と大きな地震があったとき、クラス中が大騒ぎで先生の声すら通らなかったことがある。
余震が続く中、海斗は一気にクラスを治めた。
「はいっ、注目っ!」
手を叩いて数人に指示を出したのよね。
「窓際の連中は窓開ける。廊下側の前と後ろのドア開けて。そのほかの人間は机の下」
なんてことのない指示。
教師ですら取らせるべき行動を取らせることができなかったのに、海斗が指示に声を発したのはその一度だけだった。
ほかの誰でもなく海斗だから――だからみんなは何を思うことなく指示に従った。
「因みに、その答えは?」
私が訊くと、小悪魔のような笑みを浮かべて、「秘密」と楽しそうに口にした。
本当に読めないわ……。
妙にてんぱっているときもあるのに、周りが動揺しているときほど落ち着いているのが海斗なのだ。
割と大きな地震があったとき、クラス中が大騒ぎで先生の声すら通らなかったことがある。
余震が続く中、海斗は一気にクラスを治めた。
「はいっ、注目っ!」
手を叩いて数人に指示を出したのよね。
「窓際の連中は窓開ける。廊下側の前と後ろのドア開けて。そのほかの人間は机の下」
なんてことのない指示。
教師ですら取らせるべき行動を取らせることができなかったのに、海斗が指示に声を発したのはその一度だけだった。
ほかの誰でもなく海斗だから――だからみんなは何を思うことなく指示に従った。