光のもとでⅠ
今の私ならそのくらいのことはできるだろう。
でも、中学一年の時点ではできなかったことだ。
そんなとき、藤宮の血を感じる。
上に立つものが持つ資質とでもいうのだろうか。
海斗だけではなく、藤宮司も間違いなくそれを備え持っている。
人を従えさせる力を――。
「簾条、立花っ。早く行って助けてやってっ」
さっき飛鳥に走るなと怒っていた佐野が走って出てきた。
異様な状態に席を立つ。
「あ、ちょうどいいわ。これ翠葉ちゃんにも持っていってもらえるかしら?」
栞さんに言われてトレイを受け取った。
翠葉の部屋へ行くと、翠葉は放心状態だった。
「何、どうかしたの?」
声をかけると、「ううん、なんでもないの」とごまかしようのない作り笑いを浮かべる。
「佐野が早く行って助けてやれって言うから何事かと思ったよ」
飛鳥が突っ込むものの、翠葉は佐野との話はするつもりはないようだった。
こういうときの翠葉は簡単には口を割らない。
問い詰めたところで無駄ね。
軽くため息をつくとトレイをテーブルに乗せ、グラスのひとつを翠葉に渡した。
「私たちは三者面談にしましょう」
そう声をかけると、翠葉はあからさまにほっとした顔をした。
でも、中学一年の時点ではできなかったことだ。
そんなとき、藤宮の血を感じる。
上に立つものが持つ資質とでもいうのだろうか。
海斗だけではなく、藤宮司も間違いなくそれを備え持っている。
人を従えさせる力を――。
「簾条、立花っ。早く行って助けてやってっ」
さっき飛鳥に走るなと怒っていた佐野が走って出てきた。
異様な状態に席を立つ。
「あ、ちょうどいいわ。これ翠葉ちゃんにも持っていってもらえるかしら?」
栞さんに言われてトレイを受け取った。
翠葉の部屋へ行くと、翠葉は放心状態だった。
「何、どうかしたの?」
声をかけると、「ううん、なんでもないの」とごまかしようのない作り笑いを浮かべる。
「佐野が早く行って助けてやれって言うから何事かと思ったよ」
飛鳥が突っ込むものの、翠葉は佐野との話はするつもりはないようだった。
こういうときの翠葉は簡単には口を割らない。
問い詰めたところで無駄ね。
軽くため息をつくとトレイをテーブルに乗せ、グラスのひとつを翠葉に渡した。
「私たちは三者面談にしましょう」
そう声をかけると、翠葉はあからさまにほっとした顔をした。