光のもとでⅠ
 藤宮では初等部から性教育がきちんと行われる。
 高校でも近々避妊の仕方についての授業が男女別で行われる予定だ。
 藤宮の性教育は保護者からの定評がある。
 ほかの学校と比べると細やかな指導をされているという。
 それは不用意に中絶をすることにならないため。
 人の命の重みはお腹の中ですでに始まっている。そういう部分から教育される。
 そして、何よりも生徒たちが道を踏み外し問題となることを避けるためでもある。
 それだけ、うちの学校には名の通った子息令嬢、お堅い家柄の生徒が多いということだ。
「いつも思うんだけど、桃華ってやっぱり責任感強いよね?」
 飛鳥の声で現実世界に引き戻される。
 翠葉は飛鳥に同意するように頷いていた。
「自分の頭はどうもこういうふうにしか物事を考えられないのよ」
 本当にそれだけなのだ。
「私はねぇ……わっかんないんだなぁ……。好きな人とは喋りたいし一緒にいたいし手だってつなぎたいよ? でも、性行為はちょっと……」
 と、言葉を濁す。
 誰のことを考えて言っているのかは一目瞭然。
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