光のもとでⅠ
 そうよ……じゃないと私の目論見どおりにいかないかじゃない……。
「でも、女の子ふたりは家まで送るの強制ね? 夏は変な人が出る率も高いから」
 飛鳥と私は笑顔でお礼を言う。
 直後、蒼樹さんは翠葉に視線を移し、
「翠葉、ちょっと行ってくるな」
「うん」
 蒼樹さんは翠葉にとても優しい笑顔を向けた。
 この人がこういう笑顔を向けるのは翠葉にだけ、なのよね……。
 本当は翠葉のことが好きだったりするんじゃないだろうか、と不安に思ったりする。
 心が沈む。錘でも食べたかのように……。
「シスコンっ」
 と、元気のいい海斗の声が聞こえると、蒼樹さんが腰の辺りを軽く一突きされていた。
「……さすが先輩の弟」
 なんて口にすれば、みんなが笑いだす。
 蒼樹さんが先に部屋を出て、私たちはそれぞれ翠葉に声をかけて部屋を出た。
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