光のもとでⅠ
 恋愛におけるドキドキ感はとくにない。
 どっちかと言うならば、面食らった感が満載だ。
 ただ、彼女が隣にいると嬉しいと思う。
 話をしていて楽しいと思うし、どうしてか安心感を得られる。
 彼女が見せる表情をひとつひとつ知るたびに幸せだと感じる。
 人を好きになるってこういうことをいうものなのかもしれない。
 やっと、わかった気がした――。
 何にせよ、彼女は翠葉とは全く違う。
 歴代の彼女たちはどこか翠葉の影を追っていた感が否めない。
 けれど、どこを見ても彼女には翠葉の影は見えない。
 そして、今まで付き合ってきた相手と決定的に異なるのは、翠葉を大切に思ってくれていること。
 翠葉が原因で別れることはなさそうだ。
 それどころか、翠葉を彼女に取られそうな気がしてならないのは気のせいだろうか……。
 いやいやいや……それでも別にかまわないけれど、独占されると少し寂しい気はするかな。
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